ワイヤー矯正の歴史

ワイヤー矯正

昔は指圧による歯列矯正をしていた

歯が正しく配列されていることは多くの人が望み、歴史的に見てもそれは変わりません。矯正は紀元のはじめにCelsus,Cにより、生え始めの永久歯を指圧により矯正することが試みられました。そして、1678年から1761年頃Fauchard,Pにより機械的な矯正装置を使用して不正咬合を治療する試みがされています。

これは現在の矯正歯科治療の主流を占めているワイヤーの弾力を利用した装置の原点となっています。そして、1803年頃にFoxは歯の移動時に他の歯にぶつかり移動を妨げてしまうので奥歯にブロックを置き、円滑な歯の移動ができるようにしました。これは矯正歯科治療にアゴの機能的要素を初めて取り入れたものです。

次に1808年頃、Catalanは筋肉の機能力を矯正の力として利用することを試み、下のアゴを前に移動させるような装置を開発します。1829〜1923年Kingsley,N,Wはこの方法を取り入れ、咬合斜面板を使い上下の歯列の前後的な改善をはかる治療を試み、これは現在でも使われている治療になります。

1815年頃になるとDelabarre,C,Fは取り外しできる装置において歯にひっかけるためのクリブを用いました。その後、SchangeやMarillが様々な装置を試み、組み合わさることでより精密な矯正装置が発達していきます。そして、1843年頃Desirabodeによって固定の概念が考えられていきます。固定の概念とは、矯正歯科治療で歯を移動する時に移動される歯と抵抗となる歯の歯根の相違のことです。また、1893年Bakerは固定の概念を上下のアゴに適応しました。

マルチブラケット装置の誕生

ワイヤー矯正とはマルチブラケット装置のことをいいますが、マルチブラケット装置の基礎を築いたのはAngle,E,Hです。Angleは歯列拡大線装置や釘管装置、紐状装置、それを改良したエッジワイズ装置を発表し、現在でも使われるブラケットの創案をしていきます。Angle の死後、弟子によりブラケットの改良がなされ、ストレートワイヤーテクニックなどが現在に影響を及ぼしています。

また、矯正歯科治療をするにあたり、抜歯の有無を考えることは避けて通れない問題です。Case,C,Cは不正咬合を歯並びだけでなく、顔面との不調和の観点も視野にいれ、矯正歯科治療のための抜歯の必要性を強調しました。

Caseは歯根の移動の重要性も強調し、これは矯正歯科治療で重要なのは歯冠(歯の口の中に見えている部分)の移動ではなく歯根の移動であるとした考え方です。そして、第二次世界大戦後、日本では唇舌側弧線装置、舌側弧線装置、アクチバトール、床矯正装置が主体でありましたが、1961年頃になると歯のそれぞれバンドをかけるマルチバンドテクニックの時代へと変化していきます。その後、三浦不二夫・増原英一によりダイレクトボンディングシステムが開発され、バンドではなく歯に直接ブラケットを接着するマルチブラケット装置が主流になり、現在にいたっています。

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